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81歳の男性。もの忘れを主訴に来院した。5年前に妻を亡くしてから、一人暮らしとなった。年金で十分生活はできていて、身の回りのことは自分で行っていた。約2年前から、約束を忘れたり、同じ食材を何度も買ってきて冷蔵庫に詰め込んだりするようになった。心配した長男夫婦が勧めても適当にはぐらかして受診しなかったが、再三の説得により長男と受診した。既往歴に特記すべきことはない。 診察時、疎通性は良好であるが答えられない質問になると、その場を取り繕う様子がみられた。Mini-Mental State Examination <MMSE>は18点(30点満点)で、時間の見当識と語想起の課題で失点が目立った。神経診察では、筋力低下、感覚障害、不随意運動および筋強剛はみられず、歩行も正常であった。血液生化学検査で異常を認めない。頭部MRIで年齢相応の脳萎縮を認める。脳血流SPECT (前頭葉の血流低下?)を別に示す。
この患者の支援のために、まず申請するのはどれか。

a 介護認定
b 生活保護
c 身体障害者手帳
d 特別障害給付金
e 特定医療費支給認定(指定難病)

 

MMSEは24点未満であり、健忘、取り繕い、見当識障害などでAlzheimer型認知症を疑います。認知機能低下を見た時は、Alzheimer、Lewy小体型、前頭側頭型認知症だけではなく、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、多系統萎縮症なども鑑別として挙げる必要があります。神経診察で小脳症状やParkinsonism、自律神経障害などを認めないため、多系統萎縮症やLewy小体型認知症は否定的。

この患者さんの困り事としては、

・約束を忘れてしまう

・同じ食材を何度も買ってきてしまう

が挙げられます。特に後者の困り事は一人暮らしである患者さんの食生活に大きく影響し、ちゃんとした食事が摂れていない可能性が示唆されます。

一方、

・金銭面

・身の回りのこと

については、今回のケースでは今のところ問題ありません。

a 81歳の認知症の患者さんであり、第1号被保険者として介護申請を行うことが出来ます。要介護となる原因の1位が認知症(全体の4割ぐらい?)であるように、今回のケースも介護認定を申請し、居宅介護サービスで訪問介護により主に買い物の手伝いをしてもらう必要がありそうです。〇

b 今回の患者さんは年金で充分生活出来ており、金銭面では問題ないため×。

c 身体障害者ではないので×。

d 特別障害給付金は何か知らなかったのですが、障害に関するものでは無いので×。

e 指定難病ではないですし、指定難病では文字通り医療費が給付されるので、金銭的な面では問題のない今回のケースでは×。

 

回答:a

予想模範解答:a(正答率90%台前半)

 

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