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45歳の男性。夕方になるとまぶたが下がること、物が二重に見えること、水分を慌てて飲むと鼻に逆流することを主訴に来院した。2か月前から症状を自覚していたが、改善しないため受診した。既往歴に特記すべきことはない。血液検査、頭部MRI 及び胸部造影CTを行った。頭部 MRI 異常は認めなかった。この患者の胸部造影CT(前縦隔に辺縁整の充実性腫瘍)を別に示す。

この患者の血液検査で異常値を示すと考えられるのはどれか。

a 可溶性IL-2受容体抗体
b α-フェトプロテイン<AFP>
c 抗アセチルコリン受容体抗体
d ヒト絨毛性ゴナドトロピン<hCG>
e アンジオテンシン変換酵素<ACE>

 

前縦隔腫瘍:胸腺腫、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍

今回は、夕方になると増悪する筋症状で、眼瞼下垂、複視などがみられることから、重症筋無力症が考えられます。よって胸腺腫の可能性が高い。

a 悪性リンパ腫で上昇。×

b 卵黄嚢腫瘍などの胚細胞性腫瘍で上昇。×

c 重症筋無力症。よって〇。

d こちらも胚細胞性腫瘍。×

e サルコイドーシスで上昇。「肺門リンパ節腫脹」ではなく縦隔腫瘍なので×。

 

回答:c

予想模範解答:c(正答率ほぼ100%)

 

縦隔腫瘍は国試で毎年出るので、絶対に暗記すべきです。

ちなみに、

後縦隔:神経原性腫瘍

中縦隔:心膜や気管支や消化管の「嚢胞」、悪性リンパ腫

となります。中縦隔が出題されると正答率が下がるイメージ。前縦隔は胸腺腫ばっかり出題され、赤芽球癆や低ガンマグロブリン血症、重症筋無力症との合併や、重症筋無力症では胸腺腫なくても胸腺拡大切除を行うことなどが出されがちなイメージでしたが、今回は超イージーでCBTレベルでしたね。