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60歳の女性。皮疹を主訴に来院した。1年前から右肩甲部に皮疹が出現し徐々に拡大してきた。痒みや痛みはない。右肩甲部に約2cmの境界明瞭で平坦な淡褐色結節を認める。血液所見と血液生化学所見とに異常を認めない。胸腹部造影CTで明らかな転移を認めない。生検で病理診断を行った後、結節を辺縁から5mm離して切除した。術前の右肩甲部の写真(別冊)と摘出組織のH-E染色標本(表皮内異形成、周囲にリンパ球浸潤してるけど腫瘍細胞は真皮に浸潤して無さそう)とを別に示す。H-E染色標本で切除断端に病変はなかった。
切除後の対応で適切なのはどれか。

a 拡大切除
b 経過観察
c 電子線照射
d PUVA療法
e 薬物による抗癌治療

 

病変部の写真は有棘細胞癌っぽいけど、1年前からあったというストーリー的に、浸潤性の有棘細胞癌ではなさそう。基底細胞の異形成がみられるけど、上皮内に留まっているので、日光角化症かBowen病のどちらかっぽい。肩なので、日光はあまり当たらないだろうし、見た目的にも一番あり得そうなのはBowen病。どの疾患にせよ既に切除されており、断端陰性なので、治療はこれで終わり。よって経過観察です。

と、自分的には割とスムーズに答えに辿り着いたと思ったのですが、国試本番で「経過観察」を選ぶのには相当な勇気がいりました。しかも、今回はよりによって悪性腫瘍の問題。悪性腫瘍の問題で「経過観察」は禁忌判定される可能性が高いので、bは答えかはたまた禁忌かどちらかだな、と試験中に思いました。

 

回答:b

予想模範解答:b

 

大手予備校のコメント欄では、「有棘細胞癌だ」というコメントが多数ありますが、これって上皮に留まってないのでしょうか。癌真珠もみられないですし、Bowen病だと思うのですが、どうなのでしょう。

と思って調べてみました。うん。柵状配列なので、基底細胞癌かもしれない。。。