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76歳の女性。悪心と嘔吐を主訴に来院した。3か月前から悪心を自覚していた。その後嘔吐がはじまり、食事を摂取しなくても嘔吐するようになったため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴はない。身長150 cm、体重37 kg。脈拍68/分、整。血圧110/60 mmHg。呼吸数14/分。上腹部正中に径10 cmの辺縁不整な腫瘤を触知する。血液所見: 赤血球392万、Hb 10.9 g/dL、 Ht36%、白血球4,100、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白5.8 g/dL、アルブミン3.2 g/dL、総ビリルビン 0.5 mg/dL、AST 22 U/L、ALT 8 U/L、γ-GT 11 U/L (基準8~50)、尿素窒素22 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、Na 131 mEq/L、K 3.4 mEq/L、Cl 96 mEq/L、CEA 16.4 ng/mL (基準5以下)、CA19-9 180 U/mL (基準37以下)。腹部造影CT(胃幽門側に腫瘍、拡張した胃内にniveau)を別に示す。幽門狭窄を伴う胃癌と診断し、10日間の栄養投与後に手術を行うこととした。 手術までの栄養方法として適切なのはどれか。

a 末梢静脈栄養
b 栄養補助食品の経口摂取
c 経鼻胃管による経腸栄養
d アルブミン製剤の静脈投与
e 中心静脈栄養による高カロリー輸液

 

幽門狭窄を伴う胃癌。おそらく幽門側胃切除術または胃全摘を行うと思われますが、手術までの栄養管理について聞かれています。実践的な問題ですね。

通常、腸が使えるのであれば何らかの方法で腸から栄養を吸収させるのが鉄則ですが、今回は幽門狭窄があり、niveauもあることから、経口摂取や経鼻胃管では腸に栄養はいきません。

末梢静脈栄養では低カロリーの輸液しか行うことが出来ず、10日間それだけなのはさすがに不十分な気がします。

アルブミン製剤はヒト由来の製剤であり、非常に効果であり適応がかなり限られます。なんか直前期にアルブミン製剤の適応を詰め込んだ気がしますが、少なくとも術前の栄養補充目的では用いません。

ということでCVから高カロリー輸液を行うべきです。

 

回答:e

予想模範解答:e(正答率60%台後半)

 

こういう臨床判断系でかつ過去問に類題が無いようなものは、基本的に正答率が下がる傾向にある気がします。

臨床的には多分当たり前の問題なのでしょうが、学生が国家試験という緊張の元で解いた場合、これぐらいの正答率になるのは当然な気もしますね。

 

CVについては国試で最近かなり熱い気がします。

特にPICCという、肘正中皮静脈から挿入し、カテーテルの先端を右房すぐ横の上大静脈に置く、末梢挿入型中心静脈カテーテルは大事なので押さえておくべきですね。