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7歳の男児。落ち着きのなさを心配した両親に連れられて来院した。学校の担任から、授業中じっと席に座っていることができず勝手に席から離れること、おせっかいが多く同級生の邪魔をしてしまうため喧嘩になること、忘れ物が多いことを指摘されている。自宅では後片付けや整理整頓が苦手だが、自分の好きなゲームには集中して取り組むことができる。外出時に車が来るのを確認せずに飛び出してしまうことがある。出生時に異常は指摘されなかった。乳幼児期の発達で明らかな遅れを指摘されたことは無い。神経診察を含む身体診察に明らかな異常を認めない。
現時点で考えられる疾患について正しいのはどれか。
a 知的障害を伴う。
b 有効な薬物療法がある。
c 成人になると症状は消失する。
d 出生後の養育が発症要因である。
e 好ましい行動を褒めるよりも好ましくない行動を注意する。
注意欠陥多動性障害ですね。
a 基本的に、別の疾患として合併することはあるのかもしれませんが、ADHD自体は知的障害を伴いません。
b ADHDは有効な薬物療法があります。メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン、リスデキサンフェタミンの4つが承認されています。それぞれ他動が強いのか、注意欠陥が強いのかなどで使い分けされているみたいですね。〇
※グアンファシンとリスデキサンフェタミンはどちらも私が医学部在学中に認可されたお薬なので、それまでは2種類しかなかったのが近年一気に選択肢が増えたってことなんでしょうか。
とはいえ、ADHDを診たらすぐに投薬!って訳ではなく、心理療法などを行いながら必要に応じて上記のお薬を処方したりするみたいです。
c 成人になると他動は軽快する傾向にありますが、注意欠陥が残存することが多いです。×
d 発達障害は生まれた時から持っているもので、「最初は違ったけど途中から発達障害になった」はありません。養育のせいだと周りに言われ、自分を責めている親御さんもいらっしゃるので、そうではないことをきちんと説明してあげることが非常に大事だと思います。
e 真逆ですね。出来ないところを指摘され続けることで自尊心が低下し、将来二次障害(うつ病など)を発症しうると言われています。二次障害については色々語りたいことがありますが、長くなるのでここでは割愛します。
回答:b
予想模範解答:b(90%台半ば)
117回は眼科や皮膚科がトリッキーな分、精神科が安定しているのでバランスとしてはこんなものなのでしょうか。
児童精神医学は近年、医学界でもトレンドだと思うのですが、発達障害に関しては様々な本が出版されていて、何がいいのかよく分からないですよね。
で、以前精神科の先生におすすめを訊いてみたら、「『子どものための精神医学』という本がいいよ」と言われました。
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その後もいろんな先生からこの本をおすすめいただき、もはや児童精神科のバイブルなんじゃないかってぐらいにみなさんお持ちだったので、非常におすすめです。
医者や学生だけでなく、教育現場の方や子供に関わる全ての方が読むことを想定して書かれているので、とてもわかりやすく、読みやすいです。